「新しい文化的次元」へ-未公開-

1966年、アメリカの文化人類学者のエドワード・T・ホールは、対人距離を4つのゾーンに大別し、それらをさらに近接相と遠方相の2つに分類した。その空間については、概ね次のとおりである。

接距離(intimate distance)

ごく親しい人に許される空間。

近 0 – 15 cm
抱きしめられる距離。

遠 15 – 45 cm
頭や腰、脚が簡単に触れ合うことはないが、手で相手に触れるくらいの距離。

 

体距離(personal distance)

相手の表情が読み取れる空間。

近 45 – 75 cm 相手を捕まえられる距離。

遠 75 – 120 cm 両方が手を伸ばせば指先が触れあうことができる距離。

 

会距離(social distance)

相手に手は届きづらいが、容易に会話ができる空間。

近 1.2 – 2 m 知らない人同士が会話をしたり、商談をする場合に用いられる距離。

遠 2 – 3.5 m 公式な商談で用いられる距離。

 

共距離(public distance)

複数の相手が見渡せる空間。

近 3.5 – 7 m 2者の関係が個人的なものではなく、講演者と聴衆と言うような場合の距離。

遠 7 m 以上 一般人が社会的な要職にある人物と面会するような場合におかれる距離。

 

出典 ウィキペディア(Wikipedia)


プロクセミクス(英語表記)proxemics

文化人類学の一分野で,それぞれの文化における空間認識のあり方を,日常行動,居住空間,美術,文学などのうちに表現されたものを通して研究する。各文化は人対人,人対物,物対物の空間的関係について,意識的・無意識的に独自の認識枠組みを形成している。この研究分野は,個別文化におけるこの種の認識枠組みを明らかにするとともに,それらに比較文化論的検討をも加えようとするもので,アメリカの文化人類学者ホールE.T.Hallの1950年代の研究に端を発する。


日の一冊は、原書は今から半世紀余り前の1966年に出版され。日本語版は1970年に出された。文化人類学者によるプロクセミクスについての本です。

文化という「かくれた次元」と人の「距離」感「空間」のお話・・・

様々な視点で、人間と文化の隠れた構造を捉えています。

難しく、まだ上手く言葉にできないですが・・・

なる文化に属する人々は、ちがう言語をしゃべるだけでなく、おそらくもっと重要なことには、ちがう感覚世界に住んでいる。感覚情報を選択的にふるいわける結果、あることは受けいれられ、それ以外のことは濾しすてられる。

のため、ある文化の型の感覚的スクリーンを通して受けとられた体験は、他の文化の型のスクリーンを通して受けとられた体験とはまったくちがうのである。

じ日本でも、地域によって「距離感」や「感じ方」は全然違う・・・家族や身近な人でさえ・・・

距離感・・・その背景・・・感覚・・・その人の文化という次元は、かくれていて目に見えないからこそ、摩擦が生じる・・・言語や言葉だけでなく、沈黙のコミュニケーションを読みとることが、異なる世界を理解するためには欠かせないと思う。「かくれんぼ」だと思って・・・かくれた「次元」の概念を見出せる「感覚」を持たないと・・・

球の反対側や、島暮らしで感じていた・・・

「あの感覚」・・・

僕にはまだ読み解けない部分もい多いですが・・・

50年前の・・・特定の専門分野に属さない

素晴らしい本です。


日の一冊

「かくれた次元」エドワード・T・ホール 

日高 敏隆 ・佐藤 信行 (翻訳)


日の世界では、われわれは、多くの情報源からのデータに圧倒され、さまざまの文化に接触し、世界中いたるところで人びとにインヴォルヴされてゆく。

※involveインヴォルヴ・巻き込む・巻き添えにする 掛かり合いをもたせる 関係させる (必然的結果として)〈…を〉伴う; 意味する・必要とする.〈…することを〉(必然的結果として)伴う.〔…に〕熱中する・夢中になる〈…に〉影響を及ぼす・関係する.〈物事を〉複雑にする。

それとともに、世界全体とのかかわりが失われているという意識もしだいに強くなっている。

書は、人間の生存やコミュニケーション・建築・都市計画といった今日的課項とふかく結びついている“空間”利用の視点から人間と文化のかくれた構造を捉え、大量のしかも急速に変化する情報を、ひとつの統合へと導く指標を提供するものである。

ールは、二つのアプローチを試みる。一つは生物学的な面からである。視覚・聴覚・嗅覚・筋覚・温覚の空間に対する鋭敏な反応。混みあいのストレスから自殺的行為や共食いといった異常な行動にかられるシカやネズミの例をあげ、空間が生物にとっていかに重要な意味をもつかを示す。

間と他の動物との裂け目は、人びとの考えているほど大きくはない。われわれは、人間の人間たるところがその動物的本性に根ざしていることを忘れがちである。

う一つは文化へのアプローチである。英米人・フランス人・ドイツ人・アラブ人・日本人などの、私的・公的な空間への知覚に関して多くの興味ぶかい観察を示し、体験の構造がそれぞれの文化にふかく型どられ、微妙に異なる意味をもつことを示す。それはまた疎外や誤解の源でもあるのだ。

のユニークな把握は、人間に人間を紹介しなおす大きな助けとなり、急速に自然にとってかわり新しい文化的次元を創り出しつつあるわれわれに、新鮮な刺激と示唆をあたえてやまない。【内容情報】出版社より


1 コミュニケーションとしての文化

2 動物における距離の調節
動物におけるスペーシングの機構(逃走距離・臨界距離・接触性動物と非接触性動物・個体距離・社会距離)/人口調節/トゲウオの連鎖/マルサスの再検討/ジェームズ島での大量死/捕食と人口

3 動物における混みあいと社会行動
カルフーンの実験(実験のデザイン・シンクの発達・求愛とセックス・巣づくり・子の保育・なわばりと社会組織・シンクの生理的結果・攻撃行動・軽度のシンク・カルフーンの実験の要約)/混みあいの生化学(外分泌学・糖銀行モデル・副腎とストレス・ストレスの効用)

4 空間の知覚――遠距離受容器 目・耳・鼻
視覚空間と聴覚空間/嗅覚空間(嗅覚の化学的基礎・人間の嗅覚)

5 空間の知覚――近接受容器 皮膚と筋肉
オフィスにおけるかくれたゾーン/温度空間/触覚的空間

6 視覚的空間
総合としての視覚/見える機構/立体視

7 近くへの手掛りとしての美術
現代の諸文化の対照/知覚の歴史としての美術

8 空間のことば
知覚への鍵としての文学

9 空間の人類学――組織化のモデル
固定相空間/半固定相空間/非公式空間

10 人間における距離
空間の力動性/密接距離/個体距離/社会距離/公衆距離/距離はなぜ「四つ」か?

11 通文化的関連におけるプロクセミックス――ドイツ人・イギリス人・フランス人
ドイツ人(ドイツ人と侵害・「プライベートな圏」・空間の秩序)/イギリス人(電話の用い方・隣人・寝室は誰の部屋か・話し声の大小・目の行動)/フランス人(家庭と家族・開いた空間のフランス的使用・星型と格子型)

12 通文化的関連におけるプロクセミックス――日本とアラブ圏
日本(混んでいるというのはどの程度からか・日本人の空間観念、「間」を含む空間)/アラブの世界(公共の場での行動・プライバシーの観念・アラブ人の個体距離・向いあうこと、あわないこと・インヴォルヴメント・囲みこまれた空間についての感情・境界)

13 都市と文化
制御の必要/心理学と建築/病理学と過密人口/単一時的時間および多元時的時間/自動車症候群/包括的共同体建築/未来の都市計画の趣意書

14 プロクセミックスと人間の未来
形対機能、内容対構造/人間の生物学的な過去/解答の必要/文化をぬぎすてることはできない


ヒトとモノの関係性についてこう書いてある。

は自分の体の延長物(extension)と私がよぶものを作り出したという事実によって、他の生物と区別される。人間はこの延長物を発展させることによって、様々な機能を改良したり特殊化したりすることができた。

 

ンピューターは脳の一部分の延長であり、電話は声を延長し、車は肢を延長した。

 

<中略>

 

間は進化を自分の体から、その延長物のほうへ移行させ、そうすることによって進化の過程を恐ろしく早めたのである。

人間は体ではなく延長物を進化させた。

「人間は文化というメディアを通してしか意味のある行動も相互作用もできない」

「われわれがどのような延長物を創り出しているかにもっと注意を払う義務」があると・・・

人間は文化の上に延長物を創り出し、それとともに生きていかなければならないということ。

「そして言語化、文書化がすべてではないという・・・」コト・・・

記録ではなく記憶、記録を遺すのではなく

記憶を記憶する・・・何も介さず、人(生身)から人(生身)へ連綿と紡いでいく文化・・・

視覚・聴覚・嗅覚・味覚・筋覚・温覚・・・身体で記憶するというコト・・・

手から手へ継承していく生業にこそ、その「応え」があるような気がします。


おはようございます。2020年8月4日(火曜日)
それでは第百十八話「はじまり」です。

今日のお話は「終わり」です。

文章の所在が分からなくなったり、言葉では辿り着けないこともありますが・・・

今日も最後まで読んでくれて本当にありがとうございます!

今日という一日に「少し」の 勇気 を
そんな【記憶

それじゃあまた明日。

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